今、シューベルトの冬の旅を聴いている。シューベルトはあまり聞かないのでなかなか慣れないが、クラシックを聴くコツはとにかく最初は何も考えないことである。しかしシューベルト・・・こんな絶望的な音楽を聴かされると僕なんてまだ幸せな部類じゃないかと思えてくる。特に彼の未完成交響楽はとんでもない深みに達しており、理解できる人は少ないだろう。私はこんなものを理解できて幸か不幸か。ところで冬の旅は失恋の心境を語る歌曲である。第1曲のタイトルは「おやすみ」である。せつない!なんてせつないんだ!一曲目からおやすみである。全部で24曲あるのにいきなりおやすみって・・・私の好奇心はくすぐられ聴いてやろうとなった次第である。1.おやすみ2.風見の旗3.凍った涙4.かじかみ5.菩提樹6.あふれる涙7.川の上で8.かえりみ9.鬼火10.休息11.春の夢12.孤独13.郵便馬車14.霜おく髪15.からす16.最後の希望17.村にて18.嵐の朝19.まぼろし20.道しるべ21.宿22.勇気23.幻の太陽24. 辻音楽師印象的なのは第23曲。曲の概要は以下のようである。「私は3つの太陽を見た。一番良い2つはもう沈んでしまった。あの三つ目のやつも沈んでさえくれれば。闇の中にいる方が私はよっぽど居心地がいい。」しかし少しも自暴自棄になってなく、心の底からそう思っているのだから、これは絶望というか失恋の終わりである。しかし残り一つの太陽が依然と私を照らしている。どうしようもない心情が理解できる。競馬で言えば、10、11、12Rを買い、10、11が大ハズレ。サイフの中身はからっぽ。12Rを待つ心境である。まあ競馬も最初からおやすみって言われているようなもんだが。