まるで、血を流した死体のように川は赤く流れていた。9月の京都開催初日、ステリシスウインドは新馬勝ちを収めた翌日、川で遺体で発見された。その馬体には全くキズがなく、血は口から流れ出ていた。厩舎を脱走したことは厩舎の関係者の話で分かっている。夜道路で数人の目撃者がいた。そのうちの数人は警察に状況を連絡した。しかし夜であるため、警察も見つけ切れなかったということだ。なぜ川で遺体で見つかるのか。どのように死んだのか。馬は500kgある巨大な物体である。操つろうとしても、そう簡単なものではない。この事件には分からないことが多すぎた。私がある人物と出会うまでは。
ステリシスウインドは父サイレンススズカ母は2010年桜花賞馬アプリコットフィズの牡馬という良血馬である。母は桜花賞を制した後、伸び悩んだが、翌年の天皇賞秋を大逃げし逃げ切ってしまった。その姿をサイレンススズカの再来というファンもいたが、実際はノーマークで楽々逃げ切っただけのことであった。実際は、それを逆手にとってサイレンスズカの再来と言われた向きもある。このレースの直後、馬主はサイレンススズカとの交配をを考えて即座に引退を表明した。